「人生100年時代」「定年延長」「副業解禁」――。
近年、働き方や生き方の選択肢は大きく広がり、定年後の過ごし方が多様化しています。従来の60歳または65歳で定年を迎えるという考え方が、もはや当たり前のゴールとは言えなくなりつつあります。
むしろ、定年後も働き続ける人、早期退職を選んで自由に生きる人、あるいは新たな道へと再スタートを切る人など、選択肢が広がる時代です。
このブログでも何度か触れているように、私自身も昨年6月末に35年間勤めた組織を早期退職しました。決断したのは53歳のときです。
本音を言えば、このまま自由に生きることができれば理想的ですが、現実はそれほど簡単ではありません。再スタートに向けて、現在も様々なことを考え、実行しています。
では、早期退職にふさわしい年齢とは一体何歳なのか。
どの年齢から早期退職を考え、どのような条件が整えば“ちょうど良い”と言えるのでしょうか――。
本記事では、その問いについて、私なりの視点から考えてみたいと思います。
「早期退職」とは何歳くらいからなのか?

「早期退職」とは、大体何歳くらいからを指すのでしょうか。
極端な例を挙げれば、22歳で大学を卒業して就職し、1か月で退職しても「早期退職」と言えなくはありません。しかし、ここで言う「早期退職」は、あくまで長年勤めた末に一区切りをつける退職を指しているため、ある程度の年齢や勤務年数を重ねた人が対象となります。
一般的なイメージ
一般的に「早期退職」と聞くと、50代前半から半ばが多い印象です。企業によっては、45歳以上を対象にした早期退職制度を設けているところもあり、45歳頃から「早期退職」と見なされるケースもあります。
実際、私が勤めていた組織では、25年以上勤務した職員が対象でした。仮に高卒(18〜19歳)で入職した場合、順調に勤務すれば44歳で早期退職の対象となります。このような例から見ても、概ね45歳前後から50代半ばまでが「早期退職」の範囲と考えられます。
制度的な目安
公的年金(老齢年金)は原則65歳から支給されることを踏まえれば、「65歳未満で退職」すれば早期退職と考えることもできます。
一方で、定年延長や再雇用制度の普及により、70歳まで働くことが一般的になりつつあります。これを踏まえると、60歳退職でも「早期退職」と捉えることができる時代になったと言えるでしょう。
世代・業種・価値観による違い
かつては60歳定年が一般的でしたが、今では人それぞれの「辞め時」が異なります。
体力を使う職種では50代で退職する人が多い一方、知的労働中心の職種では70代まで現役を続けるケースもあります。しかし、逆のケースも実際には多く見られます。
例えば、私が短期間関わった清掃業の現場では、70代以上の方が多く働いており、むしろ「エッセンシャルワーカーこそ高齢まで働くケースが多い」と感じました。
また、「人生を楽しむために辞める」「起業や副業に挑戦したい」など、価値観の違いによっても早期退職のタイミングは大きく変わります。
筆者の視点
私自身は53歳で早期退職を選びました。これは、制度上の選択であり、同時に「自分の人生における節目」としての決断でもありました。時に、自分の中での節目を見極めたうえでの決断でもありました。
「早期退職」を決断する理由とは?

早期退職を選ぶ理由は人それぞれです。経済的な事情や健康状態、職場環境の変化、人生観の転換など、さまざまな背景があります。ここでは、よくある4つの理由を挙げてみます。
職場環境や人間関係の変化
異動や組織再編などにより職場環境が大きく変わり、自分の役割や存在意義に疑問を感じるようになることがあります。こうした変化によって「もうここでの仕事は一区切りだ」と感じ、早期退職を選ぶケースが増えています。
また、人間関係のストレスが重なると、これ以上続けることが難しいと感じ、早期退職という選択肢を現実的に考えるようになります。
経済的な見通しが立った
住宅ローンの返済が終わったり、子どもが独立したり、貯蓄や退職金が十分に確保できた場合、経済的に安定し、「早期退職を考えるタイミング」となることがあります。
特に企業の早期退職制度に特別加算がある場合、こうした経済的な安心感が得られると、退職を決断しやすくなります。
人生の再設計や挑戦への意欲
「自分のやりたいことに挑戦したい」「定年まで同じ日々を続けるのは納得できない」という前向きな気持ちが、早期退職を選ぶ原動力となることがあります。新たな趣味に挑戦したり、旅行や地域活動に参加したり、起業や副業を始めるなど、定年を待たずに新しい人生の一歩を踏み出したいと考える人も少なくありません。
筆者の視点
私自身、心身の疲れや組織の変化、そして経済的な準備など、複数の要因が重なり、早期退職を決断しました。特に、**「このまま定年まで勤めて、自分は納得できるだろうか?」**という自問が、常に心の中にありました。
さらに、突然の異動内示を受けたことが最大の決断理由です。早期退職を後押ししたのはこの出来事で、これ以上同じような事を繰り返すのはごめんだという気持ちが強まり、ここで区切りをつけようと考えました。
53歳での退職を決断したのは、現状への違和感と、これからの人生をより良いものにしたいという思いが重なった結果だったと思います。
「ちょうどいい年齢」は人それぞれ

早期退職を決断するタイミングは人それぞれであり、正解はありません。年齢にとらわれず、自分の状況や価値観に基づいて判断することが重要です。ここでは、年齢に関する一般的な考え方を見ていきますが、最終的には自分自身の感覚と選択が最も大切だと言えます。
生活環境やライフプランに合わせた決断
早期退職を選ぶ年齢に関して、「ちょうどいい」と感じる時期は、その人の生活環境やライフプランに大きく影響されます。たとえば、子どもの教育費や住宅ローンが残っている場合、その負担が軽くなるまで退職を控える人もいれば、逆に子どもが独立したことで経済的な自由度が増し、早期退職を決断する人もいます。
年齢で一概に「この年齢が最適」と決めつけることは難しく、自分のライフステージに合ったタイミングを見極めることが重要です。
健康状態と体力に応じて
体力を必要とする仕事に従事している場合、早期退職のタイミングは健康状態や体力に大きく左右されます。年齢が進むにつれて、無理が効かなくなったり、慢性的な疲れがたまってきたりすることもあります。そんな時に退職を選ぶことで、心身の負担を軽減し、新たな生活をスタートできることもあります。
ただし、体力が続く限り働き続けたいという人もいれば、健康を最優先に考える人も多いため、個人の価値観や優先順位が大きく影響します。
キャリアの達成感と次のステージへの移行
ある程度の年齢に達した時、キャリアの中で自分がやりたいことや目標を達成したと感じた場合、次のステージへの移行として早期退職を選ぶこともあります。「これ以上続けても成長が見込めない」と感じる瞬間が訪れることもあるでしょう。
一方で、新たなキャリアや挑戦に対する意欲が残っている人は、60代を迎えても現役を続けることに価値を見いだすことがあります。キャリアの満足度や将来に対する展望が、退職時期を大きく左右します。
経済的な準備とリスク管理
退職後の生活を支えるための経済的な準備も大きな要因です。年齢が若い段階で早期退職を決断した場合、将来に備えた十分な資産や年金が整っていない場合、生活が不安定になる可能性があります。一方、ある程度の貯蓄や退職金があり、生活に困らない見通しが立てば、早期退職の選択肢は現実的になります。
年齢が進むにつれて経済的に安定した状況であれば、早期退職が選びやすくなりますが、これはあくまで個々のライフプランによって異なるため、慎重に判断する必要があります。
筆者の視点
私自身も、年齢や周囲の状況だけでなく、自分の心境や将来の希望を踏まえて、退職のタイミングを決めました。53歳という年齢は、ある意味では若干早い選択かもしれませんが、仕事に対するモチベーションや健康面での不安が重なり、最良のタイミングだと感じました。
自分にとっての「ちょうどいい年齢」は他人には決められません。あくまで自分自身の感覚と選択が、最も重要なポイントだと思います。自分のライフスタイルと人生設計に合ったタイミングで決断することが大切だと考えています。
まとめ

早期退職を決めるタイミングは年齢だけで決まるものではありません。ライフプランや健康状態、キャリアの達成感、経済的準備など、個々の状況により最適な年齢は異なります。
一般的には50代前半〜半ばが「早期退職」とされますが、最も重要なのは自分のライフスタイルや価値観に合ったタイミングで決断することです。
私は53歳で早期退職を選びました。いろいろ考え抜いた末での判断ですが、直接的には不当な異動内示を受けたことが一気に早期退職を後押ししました。おそらくこの事が無ければ、私は今でもこの組織で仕事をし続け、そしてこの先も、早期退職をする可能性は極めて低かったように思います。
年齢に関係なく、自分の人生にとって最適な選択をすることが大切だと感じています。早期退職は一つの大きな決断ですが、それが必ずしもすべての人にとって最良の選択とは限りません。自分の状況をしっかりと見極め、未来に向けた前向きな一歩を踏み出すことが、後悔のない人生を作るための鍵になると思います。最終的には、自分自身の納得できるタイミングで、人生をより良くする選択をしていきましょう。
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